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令和2年度 2学期 終業式 校長訓話「修正時代」

 現在、コロナ禍の第3波の収束が見えずに感染が拡大しています。本校でも集団感染が発生し、多くの皆さんにご心配をお掛けして申し訳なく思っています。幸いにして症状が悪化することなく、全員が回復に向かっていることを嬉しく思います。

今は誰もがコロナウイルスに感染する可能性があります。家庭内での感染や感染経路不明の感染例が多くなっています。自分が気づかないままに感染し、自覚症状のないままに周りの人を感染させる可能性もあります。今回の集団感染もそれぞれが気をつけていた中で起こりました。今後も同じような事例が起こる可能性があります。大切なことは、感染の可能性を考えながらお互いがリスクを避ける行動をすることです。

そして私たちに求められることは、感染した人や濃厚接触者になった人、医療従事者をはじめとする感染対策に携わる人への正しい対応です。不当な差別、偏見、いじめ等は絶対に許されません。InternetやSNSを中心とした誹謗中傷等の書き込みが、大きな社会問題になっています。相手の立場やその思いを理解し、偏見や差別はもちろん、何気ない言葉が時には心ない言葉になる危険を今一度しっかりと理解して言動することをお願いします。

2学期もコロナ禍に際して色々な工夫、変更を重ねながら、学校生活、学校行事等において新しい生活様式に取り組んできましたが、更に今後も続けることが求められています。今日の終業式にあたり、改めて皆さんの理解、協力に心から感謝し、そして今後の皆さんの更なる頑張りを重ねてお願いします。

今日は「創造的休暇」ということについてお話しします。17世紀の学者アイザック・ニュートンは、天文学、数学、物理学など様々な分野で歴史的な発見をしました。ニュートンがイギリス・ロンドンのケンブリッジ大学で学んでいた1665年のことです。当時のロンドンでは恐ろしい感染症であるペストが大流行していたそうです。

 感染拡大を防ぐために大学は2年間休校となり、ニュートンは実家に戻ることになったそうです。大学で忙しい日々を送っていた彼は、故郷で思索にふける時間を得て、普段よりも様々な研究を進めることができたそうです。あの有名な話である「庭の木から落ちるリンゴを見て『万有引力の法則』を発見した」のは、この時期だったとも言われています。

しかしニュートンがリンゴの落ちるのを見て万有引力を発見したというのは、極端に簡略化された逸話であり、間違いではないが、正しくはないと考えられているそうです。彼はリンゴを落ちるのを見て、「リンゴは落ちるのに、月はなぜ落ちてこないのか」という疑問を持ったそうです。

 そしてその理由をいくら考えても答えが出ない中で、もしかして問題の設定そのものに誤りがあるのではないかと考え、「月は落ちてこないのではなく、もうすでに月は落ちているのでないか」と発想の転換をしてみたそうです。

 するとその仮説から、円運動の加速度などの当時発見されていた理論が次々と証明できたそうです。そしてその研究過程が万有引力の発見に繋がったそうです。ニュートンの業績とされる発見や証明の多くはこの休暇中にされたもので、後に彼はこの2年間を「創造的休暇」と呼んだそうです。

 皆さんも経験した感染症等の流行、あるいはケガや病気など様々な事情で予想外の休暇を過ごすことがあります。予定通り、計画通りに前に進めず、焦りや不安を感じることもあります。しかし発想を変えることで、考えを深めたり普段は中々できない勉強をしたりするには、むしろ絶好のチャンスだと捉えることが重要になります。予期しない大変な状況下において、大切なことは「プラス思考」で受け止める力です。

先日、目にした新聞に今年の東京オリンピック・パラリンピックの延期決定について、ある競技の出場内定選手のインタビュー記事がありました。「もう一年練習する機会を貰ったと考え、更に力を付けて頑張ります」という発言が印象的でした。その言葉の中に、開催日程に合わせた準備をもう一度やり直すという強い覚悟、更なる頂点を目指す大きな決意を感じました。

 世の中はどちらかと言えば、物事を順調に運べないケースの方が多いことも事実であり、今回のコロナ禍に際して改めて実感したことも少なからずありました。その時に重要なのは、当初の計画通りにいかない状況をどのように考え直し、その実現に結びつけるかという適応力、対応力になります。

 現在のような複雑かつグローバルな社会、予測不可能で正解がなく最適解や納得解を求め、途中で方向や内容を修正することが必要な時代を「修正時代」と呼ぶそうです。「修正」とは、間違いや不十分と思われる箇所をより良くするために改め直すことであり、その対象に必ず間違いがあるとは限らないと説明されます。よく似た言葉である「訂正」とは、誤りを正しく直すことで、その対象には必ず間違いがあると説明されます。

これからの急激な変革社会では、敷かれたレールの上を進むことが少ない時代となります。予想を超える変化へ対応、適応するためには、ピンチはチャンスに変えられる良い機会だと受け止める「プラス思考」と、状況を分析、判断して新たな付加価値を生み出せる「修正力」が重要になります。そしてそれは皆さんがこれからの社会で活躍するために必要な力となります。

年末年始を迎え、3年生は受験準備の最終調整となります。今までの取り組みで培われた自分の力を信じて体調管理に万全を尽くし、受験に臨んでくれることを期待しています。皆さん一人ひとりが新しい年の目標をしっかりと決めて、その実現に向けて全力で取り組んでくれることを大いに楽しみにしています。

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