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平成30年度入学式 学校長式辞

 満開の桜の花が春雨に洗われ、緑の若葉が顔を出し始めたこの良き日に、近畿大学法人本部より清水由洋理事長をはじめ多くのご来賓の皆様のご臨席を賜り平成30年度近畿大学 附属高等学校・中学校の入学式を挙行できますことを心より御礼申し上げます。

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。今日から皆さんは、近畿大学 附属高等学校・中学校の生徒です。本年度、高等学校へは、男子577名、女子353名、併せて930名、中学校へは、男子154名、女子133名、併せて287名、新入生の総数は、1217名となります。

 きっと全員が自分の目標に向けて、日々努力を重ね、時には厳しい現実とも向き合いながら様々な困難を乗り越えて今日の日を迎え、喜びもひとしおだと思います。どうぞ今日の自分にしっかりと自信を持って下さい。ここから見ていると、皆さん一人ひとりの顔がとても素晴らしく輝いています。この凜とした空気の中に、これから始まる新しい学校生活への皆さんの大きな期待がとても感じられます。 そしてそんな皆さんを本校に迎えることができ、本当にとても嬉しく思っています。

 今日は皆さんに、これからの3年間あるいは6年間の実り多い過ごし方について参考になるお話を紹介します。皆さんは「CCC」という会社を知っていますか。カルチュア・コンビニエンス・クラブという企画会社です。あまり聞き慣れない名前の会社ですが、皆さんもよく知っているレンタルショップのTSUTAYAを運営したり、Tカードを提案、企画した会社です。

 今では当たり前になっている映画、音楽、本を一つの店で買えたり、借りられたりする生活を30年前に提案し、それを全国展開する仕組みを作り、私たちに新しいライフスタイルを提供しました。Tカードも10年前に何枚ものポイントカードやクレジットカードで膨らんだ財布を見て、これが1枚で済んでどこでもポイントが貯まって使えるカードがあればと提案し、生まれたそうです。今では全国約60万店で使用でき、ユーザー数は6000万人を超え、日本人の2人に1人が持つメジャーカードになったそうです。

 その会社の社長兼COEの増田宗昭さんは、「人がどきどき、わくわくするものを作ること」をモットーとしてきたそうです。常に「人の喜ぶことはないか」とアンテナを張り、様々な企画を生み出して、会社を成長させてきたそうです。企画とは、まだ誰も気付いていない価値を提案してカタチにすることであり、誰も気付いていない価値だからこそ、当初は理解されないことが多いようです。

 新しい企画とは、「人々の理解の領域の外側にあるもの」であり、それは、今は理解されないけれど、未来のスタンダードになるもの。そして理解されないものをカタチにするのはとても厳しい道です。

「その道を進むことを支えるものが『夢』であり、『こうなればきっと素敵だ』と夢見る力こそが、エンジンになる」と増田さんは話されています。

 しかし、一方で「そうした企画は、特別な能力のある人間がするもの」と割り切っている社員が多いことにも気づいたそうです。「日常業務をしていて、企画を考える余地がないということはありません。普段から疑問を持って仕事に接していれば、いくらでも考えを広げることはできます。些細なことでも、どうしたらよくなるかを考えることで、思いがけないアンテナが動き出します。それは特別な能力ではなく、誰にでもできることです。一人ひとり、それぞれがわくわくアンテナを張ることが大切です」と増田さんは続けます。

 企画力とは、限られた人に備わった能力ではありません。日頃行っていることをやらされているという受け身ではなく、積極的に捉える意識の先にある力なのです。そして、それは、自分に対する企画力も同じはずです。自分は何をしたいのか、自分はどうなりたいのかという思いをしっかりと持つことがそのスタートになります。

 今日から、皆さんの本校での新しい生活が始まります。これから3年間あるいは6年間をかけて、この学園で学ぶ目的は、自分の持つ力を自分で掘り出す力、それは学び方を身につけることです。「夢は見るものではなく、叶えるもの」という言葉があります。そのためには学校生活における様々なことに興味・関心を持ち、主体的に考える習慣を身につけ、自立した学習者になることです。

 学校は、自分の夢を実現するためのトレーニングの場です。「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人になろう」という校訓は、それを覚えることが目標ではなく、自分ならば、どのような人を愛し、信頼し、尊敬するかを考え、その実現に向けて自分が実践することが目標です。

 近畿大学附属高等学校・中学校には、皆さんが存分にトレーニングできる環境があります。それをうまく活用できるかどうかは自分次第です。自分はどうなりたいのかという思いが、皆さんの企画力の第一歩です。たくさんの先生が皆さん一人ひとりにしっかりと向き合い、たくさんの学びの場を提供します。皆さんがたくさんのものを手に入れ、そして考えることを楽しんでくれることを大いに期待しています。

 新入生の保護者の皆様、改めましてお子様のご入学、誠におめでとうございます。今日の良き日を迎えられましたことを心よりお祝い申し上げます。本日より、私ども教職員一同のみならず近畿大学学園が責任を持って大切なお子様をお預かりいたします。

 生徒達は学校生活の中で色々な課題と出会いながら自立し、これからの社会をより良く生きるための力を育んでまいります。様々な経験・体験を重ねながら、心身ともに大きくたくましく成長します。時にはトラブルを通して社会生活の根幹を学んでいくことになります。生徒達のより良い成長には、保護者の皆様と教職員が心を一つにチーム近大附属として生徒達を見守り、育てていくことが大切です。

 附属高等学校・中学校では、生徒全員が自分の夢を大きく育て、将来、立派に自分の花を咲かせる力を身につけるように、精一杯、力を尽くしますので、どうぞご安心してお任せ下さい。本校へのご理解ご協力を重ねてお願い申し上げまして、入学の式辞とさせて頂きます。