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令和3年度 1学期 終業式 校長訓話「グレートジャーニー」

 今学期もコロナ禍の影響を受け、様々な工夫や変更、時には中止という選択、対応を重ねながらの学校生活になりました。改めて皆さんの理解、協力に感謝します。まん延防止等重点措置が8/22まで延長されることになり、夏期休暇中の補習授業や部活動等においても、皆さんには引き続き、理解と協力を重ねてお願いします。

 終業式に際して、今日は「グレートジャーニー」についてお話しします。私たちの直接の先祖となる人類であるホモ・サピエンスが、アフリカ大陸で生まれたのは、今から約6万年前だといわれています。

その中から冒険心に富んだ者たちが、ユーラシア大陸へやがて北米から南米大陸に到達するまでの長い旅に出ました。そしてその旅を「グレートジャーニー」と呼ぶそうです。

 その旅の途中、定住生活に入った者も数多くいました。移動する者も留まる者もそれぞれが生きる土地の気候や環境、食べ物に適応して生き延びたそうです。このようにして人類は地球上に広がっていったとされています。

時がたち、それぞれの地域に落ち着いた人類は国をつくり多様な文化を築いてきました。生き方は違ってもそれぞれが生きる地で自然の法則に合わせることで発展してきたといわれています。そしてその「変化と適応」はまだ続いているとも考えられています。

「転がる石に苔は生えない」A rolling stone gathers no moss. という英語の諺があります。
この諺は2通りの解釈ができることでも有名です。

「転がる石は、苔が生えないままでいられる。つまり行動的な人は、いつまでも新鮮な感性を持っていられる」

 もう一つは、「転がる石は、苔を生やすことができない。つまり落ち着きのない人は、人脈や財産、技術などを身につけることができない」

 スピード重視で変化を歓迎する国や地域では、肯定的な解釈で捉えられることが多く、 長年の経験を重視する国や地域では、否定的な解釈が好まれるようです。また同じ国や地域でも、世代や状況によっても解釈が変わることもあるようです。

 この諺は、本来は英国の諺であり、英国では「職業や住まいを転々とする人は成功できない」という意味で用いられることが多いそうです。一方、米国では「活動的にいつも動き回っている人は能力を錆び付かせない」という肯定的な意味で使われることが多いそうです。

 日本では、「苔むす」ことを肯定的に受け止め、苔を美しいとする文化があります。継続を重んじることから「石の上にも3年」に重なるような解釈ができそうです。しかし「流れる水は腐らず」という諺もあり、両方の解釈ができる文化があるようにも思われます。

 大切なことは、同じ物を見ても環境や文化、人生経験などによって感じ方が異なることを素晴らしいと受け止められる感覚です。異なることの重要性を理解し、その多様性こそが変化に対応、適応できる力となります。

 コロナ禍により私たちは大きな変化が求められています。日本を含め世界各国で様々な対策が行われ、試行錯誤が繰り返されています。国や地域によって様々な意見や違ったアイデアがあり、その数だけ可能性が広がっていくとも考えることができます。

人類は多様化することで多くの危機を乗り越えてきました。そのためには既成概念や固定観念を乗り越える柔軟性が重要であり、それにより更なる進化が実現するようです。

 今回のコロナ禍は、私たちのグレートジャーニーが今も、そしてこれからも続いていくことに改めて気付く大きなチャンスかも知れません。Postコロナで、それぞれの目標達成、進路実現等に向けて大きく成長できる夏期休暇になることを期待しています。

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