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令和2年度 3学期 終業式 校長訓話

 今年度は、本当に色々な経験をしながら、戸惑いや不安の中で過ごした1年であったように思います。3学期も通常の授業とon-line授業が併用された学びとなりました。これからの学校生活においては、このような状態が続くことも予測されます。皆さんには、一人ひとりがその学び方の違いを理解し、うまく使い分けられることが求められます。そしてそれがこれからの学び方を身につけることにも繋がります。

 今日は、心理学の用語である「プラトー現象」について紹介します。プラトー現象とは、どんなに頑張っても学習内容や技能の取得が見られない状態のことです。プラトーとは高原のことで、変化を示す学習曲線が高原のように平らな状態、努力しているにもかかわらず成長を感じられない状態、いわゆる停滞期のことになります。

 よく似た現象として「スランプ」がありますが、プラトー現象は、成長を感じられなくなった状態であり、スランプは、これまでできていたことがうまくできなくなってしまう状態になります。

 どんなことでも始めたばかりの頃は、練習すればする程うまくなりますが、次第に同じ努力をしても、思うように能力が向上しなくなっていきます。この時期を抜けると、再び成長するようになりますが、その前に諦めてしまうとそこで成長は止まってしまいます。

 プラトー現象の時、脳は思考や知識を整理する作業をしているそうです。脳のワーキングメモリーは、情報を一時的に記憶して思考や作業を行うためのシステムだそうです。 その後、必要な思考や作業については自動化される回路が脳内にでき、一時記憶から整理されるそうです。

しかしそれには時間が必要となります。ワーキングメモリーには限界があるために、整理をしなければ次の記憶ができなくなるそうです。そしてその期間がプラトー現象になるそうです。どんな秀才でも、天才と呼ばれる人にも、誰にでも起こる現象だそうです。

しかしこの状態に入ってしまうとやはりモチベーションが低下してしまいます。「どんなに頑張ってもできない。いくら勉強しても、練習しても無理だ、無駄だ」「自分には才能がない。やっぱりここまでかな。」自分自身が自分の限界を決めて努力をやめてしまうと、本当にそれ以上の成長はできなくなり、これは非常にもったいないことになります。

プラトー現象の期間で重要なことは、プラトー現象を理解し、停滞期であると自覚することだそうです。決して自分には才能、能力がないとネガティブにならないことだそうです。この先には更なる成長ができる上昇期があると信じて、人に意見を聴いたり、学習や練習に新たな工夫を加えたり、時にはすこし休憩しながらも努力を続けることが重要です。

 最後に、盛田昭夫氏と伴にソニーの創業者の一人して知られ、先日の卒業式でも紹介した井深大(いぶか まさる)氏の言葉を皆さんに贈ります。

 「革新は、実は、たわいのない夢を、大切にすることから生まれる。」

 「トライ・アンド・エラーを、繰り返すことが経験、蓄積になる。独自のノウハウはそうやってできていく。」

 「あらゆるいばらの道を切り開き、誰も手がけない新しい創造に取り組め。」

 今年度を振り返る時、皆さんには、色々な場面での「プラトー現象」はなかったでしょうか。やまない雨がないように、必ず停滞期は終わり上昇期がやってきます。これが自分の限界だと決めつけずに、失敗を恐れることなく、それぞれの目標の実現に向け、

しっかりと取り組んでくれることを大いに期待しています。

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