News

News

平成31年度 4月生徒朝礼 校長訓話「ライオンとねずみ」

 来月から始まる新元号「令和」には、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」と説明されています。

 今日は、「ライオンとねずみ」というイソップ童話についてお話しします。皆さんもよく知っている童話だと思いますが、日本とアメリカではかなり異なる内容になるようです。

 日本では、間違ってライオンの頭の上に上ったねずみが、目を覚ましたライオンに捕まります。ねずみはその無礼を詫びて涙を流して許しを請います。それを見て可哀想に思ったライオンは、ねずみを放してやります。ねずみは深く感謝してその場を立ち去ります。

 ある時ライオンが人間の仕掛けた罠にかかり捕まってしまいます。逃げられなくなったライオンががっかりしていると、あの助けてやったねずみがやって来ます。そして恩返しとばかりに罠の網を食いちぎり、ライオンに受けた情けに応えます。ライオンはねずみに礼を言って、それからは一緒に仲良く暮らしました。

 どんなに強いものでも時には弱いものにも助けて貰うこともあるので、みんなで仲良くしましょう。そこから「情けは人のためならず」という意味に繋がります。

アメリカでは、「ライオンなんか怖くない」と仲間に強がる一匹のねずみが、ライオンの頭に飛び乗ってみせます。するとねずみはライオンに捕まってしまいました。しかしねずみはライオンに謝るどころか、胸を張って「私を放しなさい。そうすれば、いつの日か、あなたが困ったときに助けてあげます」と取引を申し出ます。

ライオンはねずみの申し出にまともに取り合う気にもならず、ねずみ一匹食べても腹の足しにもならないので放してやります。ねずみは意気揚々と帰っていきました。

 ある時、ライオンが人間の罠にかかってしまいます。するとねずみが契約を果たすためにやってきます。そして網を食いちぎりライオンを救い出します。それ以降、ねずみもパートナーとして小さ過ぎるとはされなくなりました。

 アメリカでは、「誰でも対等な取引が大切である」という話として翻訳されているそうです。同じイソップ童話の翻訳に違いに、人と人の繋がり方まさに文化の違いを感じることができます。

「日本人と北米人の幸福の感じ方」の調査によると日本人は、穏やかさやほっこり感に幸福を感じやすく、思いやりや気遣いを基本に人との繋がりを意識する傾向があるそうです。

 一方、北米人はうきうき感やワクワク感を幸福な状態と考えているそうです。また、自分自身に価値をおき、公平さ、自尊心や自由選択を重視する傾向があると分析されています。

 そして私たちは自分たちの持つ当たり前の感覚を共有できることを、無自覚、無意識のうちに相手にも求めてしまう傾向があります。

 これからのグローバルな社会を生きるということは、多様な人と協働するということになり、お互いの意識の違い、文化の違いを受け止めることがそのスタートになります。 そして同時に自分たちの文化や自分自身の価値観をしっかりと発信できる力も必要になります。

 色々なことに興味、関心を持ち、毎日の学校生活、日々の活動を通して、多くのことを学び、自分にとって必要な力をしっかりと身につけてくれることを期待しています。

  1. 一覧へ