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11月朝礼 学校長講話「家族を愛する」

 現在、コロナ禍の第3波が発生し、感染が拡大しています。本校でも先週3日間の臨時休業となりました。今は誰もがコロナウィルスに感染する可能性があります。また自分が気づかないままに感染している可能性もあります。そのことをしっかりと受け止め、周りの人への感染を防ぐために今一度自分自身の日常の生活行動を確認して下さい。

 今回の事例においても、通常の学校生活の中では濃厚接触者として感染の可能性のある人はないという判断がされました。これは皆さんがマナーを守って学校生活を過ごしていることの証だと嬉しく思っています。

 今後もこのような臨時休業の状況が突然に起こる可能性があります。その時の必要な力は、予期せぬことへ柔軟に対応できる力、そして先を見据えて行動できる力です。皆さんがその状況を判断し、どのように行動するべきか、どのように学習するべきかを選択し、実行できることです。

 そしてこの経験の積み重ねこそが、これからを生きる力になります。それぞれの取り組みに違いこそが、5年後10年後の大きな差となることは間違いありません。様々な状況をチャンスとしてうまく生かしてくれることを大いに期待しています。

 早いもので今年も秋から冬へと季節が移ろい、2学期も残りわずかになりました。これからの季節にはコロナとインフルエンザの同時流行も懸念されています。その予防には、やはりマスク着用、手洗い、うがいの徹底が効果的だそうです。特に入試を控えている3年生は体調管理も含めて、一層心掛けてほしいと思います。

 今日は、勝海舟、高橋泥舟と合わせて「幕末の三舟」と呼ばれた山岡鉄舟の言葉を紹介します。鉄舟は、幕末から明治にかけて活躍した政治家、思想家として知られています。江戸無血開城を実現し、幕府から明治政府へ平和的に政権を移すことに貢献しました。

 「一国を治めるものは、まず手近く自身からしなければならない。親子兄弟一族の治めがついて、差し支えがないというに至ったならば、この秘法はたちまちに万機に応じることができる」という言葉を遺しています。

 それは、一国を治めようとする者は、まず自分自身の身近なことができなければならないとなります。例えば親子兄弟一族の人間関係をうまく築く方法を身につけたならば、それはすべてのことに応用することができるというような意味になります。

 家族といえども、それぞれ性格も考え方も違います。円満な関係を築くには感謝を忘れず、互いに認め合い理解する必要があります。

 現在、日本は、国際比較でも安全な国とされています。欧米諸国、日本などを含む34カ国の先進諸国で構成されるOECD(経済協力開発機構)の中でも犯罪率は最低水準になります。そして2016年に摘発された殺人事件は約900件で、人口に対する発生率でも世界的にも最低水準になるそうです。

 しかしその殺人事件の55%が親族間殺人だというとてもショッキングなデータがあります。2018年のデータでも47.2%だそうです。そしてその動機は「憤怒」が45.2%で、最も多いそうです。

 「憤怒」とは「激しい怒りのこと」であり、その怒りを抑えることができなかったことが原因となります。その「憤怒」の反意語は「寛容」となり、「心が広く、よく人の言動を受け入れ、欠点などを厳しく責めないこと」となります。

 鉄舟の言葉は、まさに国を治めるというような大きな仕事を成し遂げるためには、まずはそれぞれの家族を大切することこそが、そのスタートとなるということを示しています。

 そのために努力した経験は、家庭だけでなく学校や職場、地域や社会で、多様な人たちとチームとして協力し、活動するために役立ち、大きな力を生み出すことになります。

 最後に、人々の貧困救済に生涯を捧げ、ノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサの言葉を紹介します。

 あるインタビューに際して、「世界平和のために私たちはどんなことをしたらいいですか」という記者からの質問を受けた時に、マザー・テレサは「家に帰って家族を愛してあげて下さい」と答えたそうです。

 そして「一人ひとりが愛情あふれる人になれば、おのずと争いは起きなくなります。世界を平和にする第一歩は、あなたの大切な人にほほ笑みかけることです」と続けたそうです。

 世界平和という大きな問題に対すると、つい大規模な活動が必要だと考えてしまいがちですが、それより前にすべきことが、家族や自分の目の前の人に愛情を注ぐことであると説いています。

 それは同時に、目の前にある自分にできることから始めることの大切さを示しています。今まで当たり前としてきた日常を見直すことが、既成概念、固定観念を超えた新しい視点、そして予測できない変化への対応力にも繋がります。

 まずは身近な問題を見直し、今の自分の周りにある小さな課題への取り組みを積み重ねることで、それぞれの将来の目標を達成してくれることを楽しみにしています。