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2学期始業式 学校長講話「豊かさ再考」

 今日から2学期がスタートします。まだまだコロナ禍への対応が求められ、様々な制約があり、ストレスを感じる学校生活がしばらく続きそうです。現在はインド由来の変異株である「デルタ株」による「第5波」になっています。従来株よりも若い世代への感染リスクが高くなっています。

 今のところ重症化の例は比較的少ないようですが、味覚障害、肺機能低下等の後遺症の報告もされているようです。10代の皆さんの感染リスクも確実に大きくなっています。

「自分の命は自分で守る」「家族や周囲への感染を防ぐ」為には、マスクの着用、手指消毒、大声での会話や不必要な身体接触の回避、黙食の徹底等、現状を正確に把握し、一人ひとりが責任を持って今できる感染防止対策や望ましい行動規範を判断、実行する意識が重要となります。

 今学期は体育祭や校外学習等、多くの学校行事が予定されています。様々な工夫を重ねながら取り組みたいと思っていますので、皆さんの理解と協力を重ねてお願いします。

 今年の夏もコロナ禍の折、キャンプや登山などのアウトドアレジャーの人気が高まっているようです。今日はブッシュクラフトについてお話しします。

 経験豊かなキャンプの愛好家の間では、「知識が増えれば、道具が減る」という言葉があるそうです。キャンプの経験を積むほどに色々な知識が増え、その場にある物や自然の素材を工夫して使えるようになるので、持って行く道具の量が減るという意味だそうです。

 ブッシュクラフトとは、森などの自然環境の中における「生活の知恵」の総称で、自然の中で生活していく行為そのものや生活に必要な技術のことを指します。ブッシュクラフトとサバイバルは似ていますが、サバイバルの目的が「生還」であるのに対して、ブッシュクラフトは「生活」であるところに違いがあります。

 ブッシュ(bush)とは、英語で「茂み」、クラフト(craft)とは、「工作」という意味になります。林業や木工文化が盛んであった北欧が発祥の地とされています。昔、木こりたちはなるべく軽い荷物で森に入り、森での生活に知恵や技術を活用していました。

 道具の使用を最小限に抑え、自然から得られる物をできるだけ利用するために「荷物は最小限」がモットー(信条)になっているそうです。普段は感じることのできない自然と向き合い、より自然を身近に感じることのできるアウトドアのスタイルの一つとなるようです。

 私たちの日常の生活を振り返ってみると、快適さを求めることが色々なものを生み出す原動力になり、その中で私たちは多くのものを手に入れ、より多く消費することで現在の便利で快適な生活を実現してきました。そしてその状況を「豊かさ」だと受け止めてきました。

 今問われていることは、便利さや快適さの問い直しであり、それは「豊かさの再考」となります。そしてこれからも持続できる豊かさを共有することへの取り組みが求められています。

 家庭菜園などで野菜を育てるコツは、「肥料と水をやりすぎないこと」だと言います。過度に水を与えると根が呼吸できずに腐る原因となるそうです。また野菜栽培用に市販されている土には、栄養素が含まれていることが多いため、肥料を足すと栄養過多となり枯れる恐れがあるそうです。

 気候によっても変わるそうですが、あまり過保護にするとうまく根付かないようです。良かれと思って手をかけ過ぎると逆効果になるようです。わざとやせた土地で野菜を育てる農法もあるそうです。水や養分を取り込むために、自分でしっかりと地面や地中に根を張ることで強く育つようです。

 困難な状況に出会うことが成長を促すことになり、その状況を乗り越える発想力や創造力が重要になります。「何を残し、何を手放すか」ということがキーワードであり、自分たちの持つ経験や知識、技術を生かす工夫や色々なアイデアを出せることが、コロナ禍という「ピンチ」を、新しい時代を創る「チャンス」に変えることになります。

 今学期もそれぞれの目標に向けて、実りある学びを実現しながら日々の学校生活や学習活動に取り組んで貰えることを楽しみにしています。