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6月全校朝礼 学校長講話「継続できる力」

 おはようございます。今日6/21より「緊急事態宣言」から「まんえん防止等重点措置」へ切り替えられました。学校生活においては、学校行事や部活動等においてすこし緩和されるようになりましたが、依然としてコロナ対策の継続が求められる状況は続くことになります。皆さんには引き続き、理解と協力をお願いすることになります。

特にマスクの着用につきましては、これから暑さが厳しくなりますので、水分補給等、熱中症への対策も各自で考えながら、取り組んで欲しいと思っています。宜しくお願いします。

 今日は、今から約2500年前の中国戦国時代の思想家、諸子百家の一人である「列子」(れっし)の著書とされる説話を紹介します。

 昔、愚公という老人が住む家のそばには、大きな山があり、山の向こうにいくには、遠廻りをしなければならず、通る人がとても不便な思いをしていました。そこで愚公は一族を率いて、その山を崩して平らにしようとしました。毎日少しずつ岩を砕き、土を掘り返して別の場所に移し始めました。

 そんな途方もない作業を続ける愚公たちを見た人が、「こんな大きな山を人の力でよそに移せるわけがない」と笑いました。それを聞いた愚公はこう答えました。「私の代では無理かも知れないが、私の志は子々孫々まで引き継ぐことができる。一方山はこれ以上高くなることはないのだ。いつかは平らになることだろう」

 列子は、「杞憂」や「朝三暮四」などの故事成語の由来になった説話も多く残し、そこには現代風に言えば「ストーリーテリング」の手法が使われています。ストーリーテリングとは、伝えたい思いやコンセプト(概念)を想起させる印象的な体験談やエピソードなどの物語を引用することによって、聞き手に印象付ける手法です。

 抽象的な単語や情報を羅列するよりも相手の記憶に残りやすく、得られる理解や共感が深くなることから、現在でもリーダーが組織の理念の浸透を図ったり、求心力を高めたりする目的等で多く活用されています。

 「三日三月三年」という言葉があります。これは「3日続けられれば、3カ月は続けられる。3カ月続けられれば、3年続けられる。3年続けられれば、更に長く続けられる」という意味になります。

 新しいことを始めるのは、とてもパワーがいるものです。更に環境や人間関係に慣れるにも、時には大変な思いをすることもあります。しかし続けている内にだんだんと心身が鍛えられ、苦しい気持ちも少しずつ和らいできます。

 最初は無我夢中で見えていなかったことにも、徐々に気がつく余裕も生まれます。そのようになるタイミングが、3日、3カ月、3年となるようです。そしてその節目を超えるたびに、徐々に自分のレベルが上がっていきます。

 そしてその努力を続けていくためには、目標に向かう自分の思いである「志」が不可欠になります。「志があれば気力もみなぎり、目指す理想がどんなに遠くとも達成できる」という言葉もあります。やはり志を持って取り組むことが重要になります。

 アメリカの小説家であり、映画化された「スタンド・バイ・ミー」の作者でもある

スティーブン・キングは、友人に「あんなに長い小説をどうやって書いているのか」と聞かれたとき、「決まっているだろう? 一字ずつ書いているんだ」と答えたそうです。

 皆さんは、今年度も新たな気持ちで、一人ひとりが自分の目標を掲げ、スタートしてくれていることだと思っています。努力を続けるためには、まず3日、そして3ヶ月。
目標の達成に向けて継続できる力を身につけて貰えることを大いに期待しています。