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令和2年度 修了式 学校長式辞

 校庭の桜の花が咲き始める中、今年度の修了式は、様々な状況を踏まえ、昨年度と同様、このように例年とは異なる形式での実施となりましたが、皆さんの中学校課程の修了を讃える思いは、何ら変わるものではありません。今日、皆さんは中学校の課程を修了し、無事に卒業の日を迎えました。本当におめでとうございます。

 コロナ禍により学校生活が制限され、様々な学校行事や宿泊行事が変更あるいは中止になり、皆さんには本当に申し訳なく思っています。そのような状況の中で、新しい生活様式を踏まえながら、精一杯色々なことに取り組んでくれた皆さんに改めて感謝します。

 今、3年間を振り返った時に、勉強はもちろんクラブ活動、学校行事、友達と過ごした時間など、色々なことを体験した記憶が、蘇ってくることだと思います。皆さんにとってすべてが、かけがえのない大切な思い出になっていることを願っています。

 今日は修了式に際して、あるテレビ番組での大学の先生の言葉を紹介します。将来の夢ややりたいことを尋ねられても、想像もできず、何も答えられず、自分の進路が見えずに迷い悩んでいる高校生へかけた言葉です。

 「将来、自分はこの職業に就きたいと目標を定め、努力することは、大変素晴らしいことです。でも一方で、まだ将来が漠然としている人も多いはずです。経験も知識も不足している君たちが迷うのは、あたりまえなのですよ。」

 そしてその番組では、何人かの先輩の姿が紹介されていました。古代人の骨を発掘調査しながら研究者を目指していた大学生が、社会を形成する人々の心理に興味を持つようになって最終的には心理学の道へ進んだ例や、建築家を目指していた大学院生が、ボランティア活動での地域活性化への取り組みがきっかけとなって、観光事業に興味を持ち、進路を変更したエピソードなども紹介されていました。

 そして紹介されていたどの例でも共通していたのは、自分の目の前にあることに全力で取り組むうちに、新しい可能性に出会い、道が開けたということでした。

 皆さんにアメリカの文化人類学者であるマーガレット・ミード氏の言葉を贈ります。
「未来とは、今である」とてもシンプルな表現ですが、そこには、「今日は、明日へと繋がり、その連続こそが、未来に繋がる。今の努力が、未来の自分を創る」という意味が込められているようです。

 将来の自分をイメージし、「今、自分ができること、しなければいけないこと」を考えて行動することが重要です。それは将来を見据えて自分の力で一歩を踏み出すことです。

 皆さんは春から高校生となり、新しい生活を楽しみながらも自分の進路を真剣に考える時期を迎えます。成績の善し悪しではなく、自分が本当にやりたいこと、生涯をかけて取り組んでみたいことを探してみてください。各教科の授業、学校行事、ボランティア活動等の学校生活から見つかることもあります。あるいは家庭や地域での体験、家族との会話から見えてくることもあります。

 大切なことは、自分事として、まず自分と向き合い対話し、自分の将来をイメージできることです。そして目の前のこと、今できることに打ち込むことがそのスタートとなります。

 高校生になるということは、自分が求めなければ何も手に入らない環境で、学ぶことだと、改めて理解することが重要になります。春からの新しい生活をうまくスタートしてくれることを大いに期待しています。