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2月朝礼 学校長講話「志を持つ」

 早いもので今年度も残りひと月ほどになりました。振り返れば本当に色々な経験をしながら、戸惑いや不安の中で過ごした1年であったように思います。3学期も通常の授業とon-line授業が併用された学びとなりました。これからの学校生活においては、このような状態が続くことも予測されます。皆さんには、一人ひとりがその学び方の違いを理解し、うまく使い分けられることが求められます。そしてそれがこれからの学び方を身につけることにも繋がります。

 今日は、諺を一つ紹介します。「わがものと 思へば軽し 笠の雪」自分の頭に載せた笠に降り積もって重くなった雪も、自分の物だと思えば軽く感じられるという意味になります。それは自分の為であれば、苦しいことも意外と苦にならないことのたとえであり、そこには厳しい環境や苦労に負けずに前へ進んでいく気持ちが込められています。

 もともとは、江戸時代の俳人である宝井基角の詠んだ「わが雪と 思へば軽し 笠の上」という句から生まれた諺だそうです。基角は、松尾芭蕉のすぐれた弟子のひとりであり、蕉門十哲の一番の門弟であると伝えられています。芭蕉の没後は江戸俳諧の第一人者であったとされています。

 「つらい経験はいい勉強になる」「この困難を乗り越えたら大きく成長できる」というように、どんな状況にあっても心の持ち方次第で、その感じ方は大きく変わってきます。そしてその結果も大きく変わります。ではそのような心になるには、どうすればいいのか。それは、現在の言葉で言い換えるとポジティブに捉えるということになります。

 人が生きていく中には、楽しいことや嬉しいこと、あるいは悲しいことやつらいこと、むしろ嫌なことに出会うことの方が、たくさんあるかもしれません。その中で人間は感情の動物だと言われるぐらいに、感情に大きく左右されます。それは人間であるが故の特性となり、その感情である喜怒哀楽は、実は、自分の心が決めているものになります。

 例えば、自分がやらなければならないことが沢山ある時に、「面倒くさいな。」とネガティブな思いで始めると、すべてがマイナスモードになり、当然、結果も悪くなります。反対に「きっとそれだけ期待されているんだ。これは自分の力になるんだ」と捉えると「よし、やってやろう。頑張ろう」とポジティブな気分で取り組み、その成果も上がります。きっと教科の学習も、部活動の練習なども同じはずです。自分がするべきことをどのような気持ちで取り組むかによって、結果に大きな差が出ることは間違いないようです。

 ネガティブな思考をポジティブな思考に変える一つの方法として、同じ物事をできるだけよい側面、時には真逆から見直して、受け止め方を変えてみるという方法があります。そしてよりポジティブ思考で取り組むために必要なことは、「志を持つことだ」と言われています。「志」とは、目標達成の為に、自分で決めた決意、信念になり、「自分で決めた」が重要なキーワードになります

 どのような時にも、ぶれずに強い心を持って、自分の向かうべき方向が定まっていれば、何が起ころうと落ち着いてそれを受け入れ、しっかりと進んでいけることになります。つまり、その「志」が困難を乗り越える力となります。これからも今回私たちが体験したコロナ禍のように、予期せぬ色々な出来事を自分たちの力で乗り越えなければならない時代になります。自分はどうなりたいのかという「志」をしっかりと持って、色々なことに挑戦してくれることを大いに期待しています。