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6月生徒朝礼 学校長講話「学校再開に際して」

 おはようございます。新学期がスタートしてから2ヶ月半が過ぎました。普段とは大きく異なる生活が続いていましたが、今日から学校が再開されました。今朝はおよそ100日ぶりに皆さんに挨拶ができ、本当に嬉しく思っています。できればマスクなしで顔を合わせて笑顔で挨拶したいのですが、残念ながら、それはまだもう少しかかりそうです。

 この休業期間中、皆さんの姿がなく元気な声や笑い声が消えた校舎やグラウンドは、寂しいを通り越して、間の抜けた空間だと改めて実感していました。皆さんがいてこその学校であるという当たり前のことを、教員生活41年目に再認識しながら、学校の再開、皆さんと会えることを心待ちにしていました。

 本校では、5/11から時間割通りの遠隔授業を実施し、皆さんの生活リズムを整えながら、新しい授業担当の先生方との繋がりや特に新入生の皆さんには本校の生徒であることを実感して貰えるように学校再開への準備を続けてきました。5週間にわたる時間割通りの遠隔授業は、皆さんにとってもかなりの負担であったと思いますが、学びを止めない為の措置であったと理解してください。

 以前から皆さんにお話ししていた予想を超える事態、予測不能の状況への対応力、判断力、そして実行力等、まさにこれからの社会を生きるための力を、今、学校が問われていると感じています。

 学校再開に際しては、休校中の経験をうまく生かし、以前の学校生活に戻るだけでなく、Afterコロナ・Withコロナというkeywordのもとで今まで以上に質の高い学びの実現、 新しい生活様式やマナーの定着を目指し、一人ひとりが工夫する意識をしっかりと持つことが重要となります。

 基本的には学校を一つの大きな家として捉え、まず外から菌を持ち込まない工夫、自分が元気な感染者だとしての周りへの配慮、学校でクラスターを発生させない意識等、私たち全員の自覚と注意が不可欠になります。

 また最終学年である3年生は、進路実現に向けての受験準備、部活動の総仕上げや学校行事への不完全燃焼等の課題があり、できる限りの支援、応援を共に考えたく思っています。

 コロナ禍については第2の波、第3の波が予想されています。その対応として公立をはじめ多くの学校で、ICT教育環境の整備が加速されると考えられます。しかしその状況が実現し、企業等のテレワークも定着すれば、現在の通信環境のままではかなり厳しいとの指摘もあり、本校でも今回のような時間割通りの遠隔授業は難しくなる可能性が高くなります。

 遠隔授業に際しては、本来は通常の対面授業とは異なる内容・形式で実施すべきものであり、対面授業により近い状態をon-line上の学びで求めることには無理があります。 対面授業とon-line授業の学び方の違いを理解し、それぞれの良さを生かすためには、受講者が学び方を使い分け、それぞれの学び方に対応できることが必要になります。

 学習材料や学習方法が目の前に用意されるのを待つのではなく、自らが求めていくことこそが主体性であり、学習の目標を持ち、自分の学習方法や学習過程を振り返りながら学習を進め、更なる学習につなげていく力が「学びに向かう力」であり、「自己調整力」と呼ばれます。

 日々の学校での学習活動のすべてが、自ら学ぶ力を育成するトレーニングに繋がります。その力を身につけた「自立した学習者」になることが、皆さんにとってのAfterコロナでありWithコロナとなります。今回の臨時休業の経験を自分自身の学び方を見直すきっかけにして貰えることを期待しています。

 最後に今回のコロナ危機を共に経験している皆さんと改めて考えたいと思うことを3つ紹介します。今、社会全体が命を守るために必死で戦っています。特に医療従事者の皆さんが、多くの命を救う為に命がけで戦っています。そしてそれは戦争とは真逆の戦いとなります。

1.毎日、国内を含め世界中での犠牲者の数が報道されていますが、その死者数の多さやその死の状況に向き合うことで、改めて「命の尊厳について考える」こと。

2.目に見えないウイルスとの戦いは、医学だけでなく数学や科学まさにサイエンスが、そしてそれ以外の色々な学問が戦う為のツールとなっています。やはり学問とは、序列や優劣を選別するものではなく、人の命を救う為、人を幸せにする為のものです。それぞれが「学ぶことの意義をもう一度考える」こと。

3.世の中に溢れる多くの情報から、事実と虚偽を見極めて適切に情報を受け取り、必要な情報を発信できることが求められています。普段の生活の中で「判断できる力を身につけるトレーニングをする」こと。これらの3つのことを改めて考えたいと思います。

 私たち全員が日々の生活や様々な学びを通して、それぞれの立場で、それぞれの役割の中で、未来に向けてしっかりと考えることが重要だと思っています。時には不便さ、窮屈さを感じてしまうような生活様式もあるかも知れませんが、お互いの命を守り、自分たちの学校生活が続けられるように全員で取り組みましょう