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1学期の始業に際して(学校長より)「5秒の法則」

 今年度は現在の状況を踏まえ、このようなスタートとなりました。本校でも、新型コロナウィルス感染症への対応に色々と工夫を検討しています。これはまさに予想外、想定外の事象へ対応する力であり、様々な状況に応じて、時には正解ではなく最適解や納得解で対応できる力となります。

 そしてこの力こそが、これからの社会を生きるために必要な力です。皆さんもこの状況をむしろチャンスとして捉え、それぞれが「自立した学習者になる」という自覚を強く持って、この期間の学習に取り組んでほしいと思っています。

 令和2年度1学期の始業に際して、今日は心理現象の1つとして知られている「作業興奮」ということについてお話します。

 誰にでも仕事や学習、部活動の練習などに取り組む時に、あまりやる気の出ない日や場面があります。そんな時に作業興奮の作用をうまく利用できれば、時間を無駄にせずに取り組めるそうです。つまり作業興奮とは、やる気のない状態でも、いったん行動を始めることでやる気が湧き出し、その作業を継続できるようになる心理現象だと説明されています。

 ではなぜ、行動することでやる気が出るのか。それは脳科学でいうドーパミンというやる気を司る成分が分泌されるからだそうです。手足を動かして頭を使うことで、前脳にある側座核という神経細胞の集団が刺激され、そこからドーパミンという物質が分泌され、それによってやる気が刺激されて作業がはかどるそうです。

 やる気がない状態でもいったん行動をし始めると、やる気が出て継続できるようになる心理現象になります。スポーツのウォーミングアップなど、軽く身体を動かすことでやる気が湧いてくることも、その効果だと考えられています。

 キーワードは「まずはやってみる」です。逆説的な発想になりますが、やる気が出ない時こそ、まずは行動することが大切であり、作業興奮をうまく活用するためには、まず行動を始めることがそのスタートとなります。

 やるべきことが目の前にあれば、まず手を動かしてみることで作業興奮が起きるということになり、それはやる気があるから行動できるのではなく、行動するからやる気が出るということになります。

 その実践例として、「5秒の法則」というモチベーションアップの方法があります。それは自分がやるべき事に気づいた時や自分がやらなければいけない場面などで、「5,4,3,2,1,GO!」のかけ声ですぐに行動に移す方法です。

 たったこれだけかと感じる人もいるようですが、そこにはちゃんと理由があります。
人間の脳は、「何かをする必要がある時でも、5秒以上考えるとやらなくてもいい理由を考え出す」という習性を持っているそうです。

 それは脳に必要以上の負荷がかからないための情報選択であり、人間の脳が持つ無意識、無自覚的な自己防御本能の1つだとも考えられています。「5秒の法則」には、脳がやらなくてもいい理由を考え出す前に、すぐに行動を起こすことで実行できるという効果があります。この方法は日常のどんな場面でも応用できるので、自分が意識して習慣化できれば行動力を身につけたり、今まで以上に実行力を高めたりすることができるそうです。

 見方を変えると「作業興奮」「5秒の法則」の取り組みは、自分の脳を騙すことでやる気をうまく引き出すことができる1つの方法になるようです。そしてこのような脳の持つ特性を理解しながら自分自身をうまくコントロールできる力こそが、自分の目標を着実に達成できる力となります。

 この臨時休業はまさにそのトレーニングの期間と捉えることができます。もう一度自分のなりたい姿を明確にして、今自分ができること、するべきこと、やり遂げなければならないことをしっかりと判断し、そして確実に実行する。自分の学びは自分でデザインすることが基本であることを改めて理解することが重要です。

 皆さんの取り組みが、それぞれの更なる学びへ繋がるスタートになることを大いに期待して、令和2年度の始業に際しての言葉とします。