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11月朝礼校長講話「Mirror Neuron」

 今日はMirror Neuronについてお話します。Mirror Neuron(鏡の神経)とは、まるで鏡を見ているかのように、他者の行動を見て、自分自身が同じ行動を取っているように反応をする高等動物の脳内にある神経細胞だそうです。

 猿での実験ではその存在が確認されていますが、人間の脳を細胞単位で研究することは難しいためにその存在の確証は得られていませんが、MRI等の画像分析で人間も脳のある部分でMirror Neuron Systemを構成していると考えられています。

 例えば相手が泣いているのを見て自分も涙が出たり、スポーツなどを見て興奮したりするのは、Mirror Neuronの働きによるものだと言われています。見たものを脳内に鏡のように映し出し、自分の中で再現しているそうです。

 脳科学から考えるスポーツの練習方法に一つにMirror Neuronを使ったものがあります。サッカーのトップ選手であるメッシやロナウドのプレイをよく見て、自分がピッチに立って同じプレイをしているように意識するだけで、実際の練習と同様の効果があるそうです。それは試合を楽しむ観客としての見方ではなく、自分がプレイしているつもりでその選手と一体化する見方だそうです。剣道などの見取り稽古にも通じるものがあるそうです。

 そしてMirror Neuronは、自分の意思に関わらず活性化し、見たり聞いたりしたことに脳が影響を受けるそうです。つまり自分がどんなものを選んで見ているのか、どんな環境で過ごしているのかが重要になります。

 「成功したければ、成功者と付き合いなさい」という言葉があります。成功した人と一緒にいる時間が多ければ多いほど成功者の行動や考え方が映り込むと言われ、できるだけ自分の理想とする人と付き合い、多くの時間を過ごすことが理想の自分へ近づく方法となります。耳から入ってくる情報にも影響されるので、活躍している人の話や素晴らしい講演などを聴くことも効果が大きいそうです。

 もちろん逆もあります。愚痴をこぼしたり、人の陰口や暗い話ばかりしている人と多くの時間を過ごしていると、それもMirror Neuronによって映り込むそうです。楽しそうな人と一緒にいれば自分も楽しくなり、怒っている人といれば自分も腹が立ってくることになります。その働きはお互いに反映されるものなので、まず自分が笑顔を絶やさない存在になることが大切です。

 そしてMirror Neuronが活発に活動している人ほど相手に共感して、相手の立場に立って物事を受け止め、思いやりのある行動ができるそうです。それは人として大切でとても魅力的な能力であり、人としての豊かな感性に繋がるものになります。毎日の生活の中で自分のMirror Neuronをうまく活用しながら、自分の感性を磨いてくれることを大いに期待しています。