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平成30年度 5月朝礼 校長訓話 「コンパニオンプランツ」

 今日は、「コンパニオンプランツ」についてお話をします。「コンパニオン」には「仲間、付き添い」という意味があり、「プランツ」は「植物」です。「コンパニオンプランツ」とは、農学や園芸学において、近く植えることでお互いに良い影響を与える植物のことを指し、「共存作物/共栄作物」とも呼ばれます。
 例えば、野菜類とハーブ類をうまく組み合わせて一緒に植えると、病気や害虫を防ぎ、成長を促進し、収穫量が増えたり、風味や香りを良くしたりと、様々な良い効果を生み出すと言われています。良い組み合わせの例としては、レタスとアブラナ科の植物、トウモロコシとマメ科の植物などがあり、特にトマトとバジルの組み合わせが有名です。このコンパニオンプランツをうまく活用することで、農薬や肥料の使用を抑えることができるとも言われています。
 私たちが生きているこの自然界では、様々な生物が影響を与え合って共存しています。 しかし性質の全く違う生物たちが、どのようにしてお互いを滅ぼすことなく、生態系を維持しているのかは、長い間、謎だとされてきたそうです。その謎について2016年に龍谷大学理工学部の近藤(こんどう)倫(みち)生(お)教授と島根大学生物自然科学部の舞木(もうぎ)昭彦(あきひこ)准教授のお二人が、「多様な生物が生態を維持するための条件を理論的に解明した」と報道されました。
その条件とは「それぞれの生息地の環境がみんな異なっていて、しかも分断されたり、つながりすぎたりせず、お互いの間を生物が程ほどに行き来できること」だそうです。 つまり、「全体の多様性を維持するためには、それぞれの生きる場所が程よい距離を保つ必要がある」ということになり、それは大変、興味深い結果だそうです。
 「様々な生態系がみんな違っていて、しかも互いに『ほどほど』に繋がっていることが、 自然のバランスを保つカギ」となり、「違っているけれど、繋がっている」がキーワードになるようです。
 人間関係においても、一緒にいると良い影響を与え合う組み合わせが存在します。お互いの長所を引き出し合い、短所を補い合える仲間が多ければお互いがより成長できます。 「人が人に与えることができる最大の贈り物は、『相手を認めること』だ」という言葉があります。人から認められることで、人は誰でも嬉しくなって作業や仕事へのモチベーションが上がり、そして自分への自信を深める効果もあります。「気が合わない」と思った人が、意外に自分の良さを引き出してくれたり、逆に、「一緒にて楽しい」と感じる者同士が集まっていても、お互いに成長できないこともあります。
 生物も人間も、それぞれがみんな違っているものです。人間同士が共存するために大切なことは、お互いの違いを認めて尊重し合い、繋がりを深めていくことです。自分にとってのコンパニオンプランツとはどのような人か、そしてそんな人と出会うためにはどうすればいいか、一人ひとりが色々と考えてくれることを期待しています。

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