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5月朝礼学校長講話「自分で決める」

 今日は、「日々是好日」という禅の言葉を紹介します。その意味については諸説ありますが、日に良い悪いはなく、一日一日が大切なのだという教えだそうです。それは「自分の物差しで良い日や悪い日を決めてはいけない」という戒めであり、「今日ほど良い日はないと思って、毎日を過ごしなさい」という心掛けを表した言葉になります。

 私たちはつい天候の善し悪しやその日の出来事などで、「今日は良い日だ」「今日は悪い日だ」という判断をしてしまうことがあります。禅の教えでは、過ぎたことにこだわったり、まだ訪れていない明日に期待したりはしないそうです。ただ今この一瞬を精一杯に生き、その積み重ねが一日となれば、それは今までにない素晴らしい一日となると考えるそうです。

 以前、毎日をポジティブ(積極的)に楽しく過ごす方法というタイトルの文章を目にしたことがあります。そこには日記をつけるときに、その日の出来事を記録するだけでなく、嬉しかったこと、楽しかったことを毎日「3つ以上書く習慣」が有効だと書かれていました。

 そうすれば特別なことは何もなかったと思うような日でも、小さな喜びがたくさんあることに気づき、穏やかな気持ちで一日を締めくくることができるようになります。ボトルに残る半分の水を半分しかないと考えるか、まだ半分もあると考えるかの分かれ目になり、毎日を積極的に楽しく過ごすトレーニングになるそうです。

 フランスの哲学者であり、物理学、数学などの様々な分野の科学者でもあるパスカルは、有名な「人間は考える葦である」という言葉を残しています。葦は、川や湖などの水際に生える稲科の多年草で、ヨシとも呼ばれます。

 人間は一茎の葦に過ぎない。自然の中で最も弱いものである。だが、それは考える葦である。考える葦、つまり思考する存在であるところに、その偉大さがあるという意味になります。

 「わずかなことがわれわれを悲しませるので、わずかなことがわれわれを慰める」もパスカルの言葉です。人はつい悲しみや不満ばかりを見てしまいますが、実は同じくらいに喜びも満足も私たちの身近にあります。ただ、どちらに気づけるかがその分かれ目になるようです。

 同じ1日、1月、1年を過ごすなら、自分にとってどのような時間にするかを自分で決めること、その積み重ねこそが、自分の生き方、自分の人生になります。そして自分から幸せを見いだす習慣が、「日々是好日」へと繋がるようです。「考える」というキーワードを大切にしながら、充実した学校生活を過ごしてくれることを期待しています。