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平成29年度修了式 学校長式辞

 皆さんは、中学校の課程を終了し無事に卒業を迎えました。改めて本当におめでとうございます。中学校での学校生活は如何でした。今、振り返ってみて何が一番印象に残っているでしょうか。勉強はもちろんでしょうが、クラブ活動、宿泊行事、体育祭や文化祭などの学校行事、友達と過ごした時間など、色々なことを体験した記憶が蘇ってくることだと思います。

 きっと皆さんにとって、すべてがかけがえのない大切な思い出になっていることだと思いますが、その思い出をただの記憶ではなく、自分にとって貴重な記憶として心に刻み、その時の思い、学んだことを身体にしっかりと染みこませてくれることを願っています。

 今日は、皆さんに「動物の生き方と植物の生き方」というお話を贈ります。鹿児島県に、現在14代目になる「沈寿官」さんという有名な陶芸家が活躍されています。今からおよそ400年前に、豊臣秀吉が朝鮮に兵を送った時に、当時の朝鮮から焼き物の技術を日本に伝えるために薩摩へ連れて来られた方の子孫になります。

 およそ70年前の第2次世界大戦中、寿官さんが中学3年生の時のお話です。その頃男子中学生は、士官学校や幼年学校に入学し、お国のために死ぬことが、若者のつとめだと皆が思い込んでいた時代でした。

 同級生たちが自分の決意を力強く語る中で、寿官さんは両親のことを思うと自分も志願すると言えませんでしたが、朝鮮から来た祖先を持つ自分を皆が違う目で見ているように感じ、悔しかったそうです。家に帰り、思い悩んだ末に、13代目のお父さんに「自分も予科練に行く」と切り出します。するとお父さんは寿官さんを縁側に連れて行ったそうです。

 そして庭を見ながら、「人間の生き方には二つある。一つは動物の生き方で、自分で目標を決めて、自分で歩く。腹が空けば、動物を捕まえて食べ、邪魔する相手がいれば、闘って倒し、もし力が及ばないときには、そこで死んでいく。そしてもう一つは植物の生き方。この庭の木は、自分でここに望んで生えたわけではない。山にあったものを祖先が掘り起こして、ここに植えたのか、あるいは風に乗って飛んできたのか。生きる土地を選べず、与えられた土地で生きてもうこれまでと思ったら静かに枯れていく。しかし、いったん、そこに根を下ろしたら、全力で大きく根を張り、水や栄養を吸収し、枝を広げて太陽の光を精一杯受けて、力の限り生きる。この生き方は志もなく、勇気もない、弱い生き方のように見えるが、実は強い意志と静かな努力がいる生き方である。俺たちは、植物の生き方しか生きられんぞ。召集令状が来たら嫌でも行けるから、焼き物の稽古をしっかりせいや」と話されたそうです。寿官さんは話を聞くうちに涙が出てきて、顔を上げたらお父さんも涙を拭いていたそうです。

 動物の生き方のように、自分自身で歩き回って色々なことを見聞きし、情報を集め選択し、自分の目標を決めることは大切です。そして植物の生き方のように、その目標に向けてしっかりと根を張り、辛いことにも耐えながら、コツコツと静かな努力を続けることが目標の達成につながるはずです。

 これから始まる高校生活で、皆さんは自分はどうしたいのか、どうなりたいのかということを、自分自身と向き合いながらしっかりと考えなければなりません。そして自分の進路について、情報を集め、吟味、選択し、その実現に向けての準備に取り組む3年間となります。高校生になることは、自分が求めなければ、何も手に入らないという環境で学ぶことだとしっかりと理解することが重要です。

 最後に、ウォルト・ディズニーの言葉を贈ります。

If you can dream it, you can do it.
夢を見ることができれば、それを実現できる。

 4月から始まる高校生活をうまくスタートして、色々なものを手に入れてくれることを大いに期待しています。