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平成29年度 一学期終業式 校長訓話「寓話」

 おはようございます。毎日、本当に暑い日が続いていますが、体調は大丈夫ですか。皆さんには、夏休みを自律(セルフコントロール)する力をトレーニングする期間として活用して欲しいと思います。

 夏休みには、各教科の課題、大学進学への準備、クラブ活動等、色々な予定があると思いますが、大切なことは、自分自身でこの期間の自分の取り組むべきテーマ、具体的な目標を明確にすることです。

 そしてその実現、達成に向けて、生活、行動、時間等の管理を自分自身ができることです。人から管理されるのではなく、自分自身でちゃんと管理できることが重要です。休み明けの成果を期待しています。

 今日は、「寓話」についての話を紹介します。「童話」とは異なります。英語では寓話はfable、童話はfairy taleと区別されます。寓話とは、比喩によって人間の生活になじみ深い出来事を取り上げながら道徳的な解釈をつける物語です。登場人物は、動物、自然現象等が擬人化されています。

 日本の寓話の元祖はイソップ物語です。この物語は古代ギリシアの寓話集で、民衆の生活の中に生きるための知恵がたくさん詰まっています。作者はアイソーポスという今から約2600年前、紀元前600年ぐらいに生きた人物です。アイソーポス(Aesop)の英語読みがイソップとなり、日本ではイソップとい名前が一般的ですが、世界的には異なるようです。

 室町末期に宣教師によって伝えられ、伊曽保物語と呼ばれました。江戸時代には仮名草子として出版されましたが、あまり広まらなかったそうです。明治初期に英語版の翻訳として、再度イソップ物語が紹介された時は、小学校の教科書に用いられる程、普及し、その中にアリとセミ(キリギリス)の話がありました。

 秋が終わり冬になり、アリがエサ干しに精を出していると、夏の間、歌ばかり歌っていたセミがやってきて、食べ物を恵んでくれと泣きつきます。するとアリは皮肉たっぷりに「歌っていたんだってね。結構ですね。じゃ今度は踊っていたら」と言ってセミを追い返します。

 この寓話はインドに由来するそうですが、ギリシアに紹介された時に、キリギリスがいなかったのでセミに変わり、北欧に紹介された時には、今度はセミがいないのでキリギリスになったそうです。日本にはセミもキリギリスも両方いたために、両者が混同されて使われました。

 しかし日本に紹介された時には、最後の場面が微妙に変更されました。アリは、怠けていたのはいけないことだと諫めた上で、少しの食べ物を与えてやったとなったそうです。欧米の人達にこの話をすると、「バカバカしい。それじゃ何のためにこの寓話を創る必要があるのか」という返事が返ってくるそうです。

 しかしムラ社会の日本では、皮肉を言って追い返すという結末では受け入れられないと当時の人は判断したようです。人間の考え方は、あまり自覚がなくても、自然、風土や伝統というものに影響を受けるのは事実です。現在では「追い返し派」の支持も増えているようですが、平均値では、やはり「恵み派」が多いそうです。

 正義を守って徹底的に事を運ぶ、甘えは許さないという欧米の人達の考え方と、日本人の多少は大目にみてという曖昧な考え方、どちらが良いということではなく、その違いや違いの背景となどをしっかりと理解することが、グローバルで多様な社会で生きるためには大切なことです。

 そこには自然と人間の関係をどのように捉えるか。厳しい自然と向き合いながら生きる人間の姿、東洋と西洋、宗教観など色々な要素があります。そして今、その違いを超えて一つのチームになり活動できる力が求められています。

 最後にアイソーポスの名言を一つ紹介します。

「ある場所で不満を感じているものは、別の場所へ移っても、まず満足は得られない。」

 今からおよそ2600年前の人物の言葉です。人間の本質は、今も昔もあまり変わらないのかも知れません。この言葉を毎日の学校や家庭での生活にうまく繋げてくれることを期待しています。

 今日はもう一つ皆さんにお話しします。先日、校長室の教育雑誌を整理している時に昨年の7月14日に急逝された岡﨑校長先生が残された書きかけの「折り句のメモ」を目にしました。皆さんに伝えようとされていた先生の思いを考えながら、少し手を加えて完成させました。それを紹介します。

 「あいうえお」道しるべ

「あ」:挨拶をきちんとする。家族や地域の人たち、先生や友達、初めて会う人にも自分から挨拶する。

「い」:今すぐ実行する。自分で決めたことや人から言われたことは後回しにせず、

今すぐ、一生懸命実行する。

「う」:嘘をつかない。1度嘘をつくと嘘を重ねて自分を苦しめる。どんな小さな嘘もつかない。

「え」:笑顔でいる。笑顔の人の周りには人が集まる。いつも笑顔を忘れない。

「お」:怒らない。気は長く、心はまるく、腹立てず、人は大きく、自分は小さく。

 改めて岡﨑先生のご冥福をお祈りしながら、先生からのメッセージとしてしっかりと受け止めてください。

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